イグアス国立公園(アルゼンチン・ブラジル)

国境線が引かれたイグアス川

ブラジルにあるフォス・ド・イグアスという街に泊まった。広大なブラジルの南部にあり、イグアスの滝があるイグアス川、それが合流するパンナ川と2つの川をはさんでアルゼンチンのプエルト・イグアス、パラグアイのシウダー・デル・エステと隣り合っている。世界に4つしかない3カ国が国境を接している場所でもある。

三国国境地点。アルゼンチン側から見たブラジル側(右手)とパラグアイ側(左手)

滝を中心に世界遺産になっているのはブラジル側、アルゼンチン側合わせて24万ヘクタール。滝は総延長約2.7㌔、平均的な落差は80㍍という。2日目はアルゼンチン側を見て回る。
国境の川イグアス川にかかる橋を渡る。真ん中あたりで橋の欄干の色が、ブラジル国旗の緑と黄色から、アルゼンチン国旗の青と白に変わる。


ちなみに、両国の国境線は「イグアス川の一番深いところを結んで引いた」(ガイド)という。水深が変われば国境も変わる? ということはないそうだ。
バスの中で通関をすませて、公園ゲートへ。通貨ももちろん変わる。いくらだったかは覚えていないが、ゲートの売店で水を買った際はブラジルのレアルで支払って、出されるままにアルゼンチンのペソでおつりをもらった。

滝へ行くには鉄道に乗る

アルゼンチン側は遊歩道がブラジル側よりも長く、いくつかに分かれているので、公園内を走る鉄道で目的の遊歩道へ行く。まずは一番奥にある駅に向かった。ここからの遊歩道は「悪魔ののど笛」のすぐ上に出る。


途中駅「Estacion Cataratas」で列車を乗り換え「Estacion Garganta(のど)」へ。遊歩道というよりは木橋の連続といった感じで、川に浮かぶ小島伝いに掛けられている。


水の流れはやはり緩やか。少し茶色ににごっている。川の中には大きなナマズがゆうゆうと泳いでいる。


景色は単調だが、20分ほど歩いていく。遠くに、水煙が見えてくる。そのあたりに目的の悪魔ののど笛を見下ろす展望台がある。水煙とともに、滝の流れ落ちる音も聞こえてくると、もうすぐだ。


しぶきの量が徐々に多くなってくる。カメラを防水ケースに入れ、一応持ってきたウインドブレーカーを羽織った。明らかに「そこから落ちている」というところが見えたら、そこが遊歩道の終点の展望台になる。

迫力に圧倒される悪魔ののど笛

しぶきが顔をたたくようになる。すぐに髪もびしょびしょ。でも、悪魔ののど笛をいざ覗き込むと、そんなことはどうでもよくなっている。

圧倒的な水量、ごう音、ものすごいしぶき、水煙…。たくさんの人が展望台にいるが、少しずつ欄干に近寄り、先端にたどり着いて目の前に悪魔ののど笛しか見えなくなったら、しばしたたずもう。


こうした光景、音の中に身をおける機会はめったにない。滝つぼは、水しぶきで見えない。水滴をぬぐいながらカメラも向けたが、目と耳に焼き付けたほうがいい。
後ろに待っている人もたくさんいるので適度に譲る。滝の裏側に住み、滝に突っ込んでいくというオオムジアマツバメという岩ツバメを見たいと思ったが、このしぶきでは探せそうもない。


イグアス最大の滝「悪魔ののど笛」は700㍍ほどのU字形で落差は82㍍ある。立ち上る水煙、ごう音から名づけられた。言い得て妙。
西洋社会に知られたのは16世紀で、スペインの探検家アルバル・ヌニェス卿が到達したという。


悪魔ののど笛に隣接する滝も十分豪快。足元を見ると、すぐ滝口になっているので、滑り落ちる水の様子が分かる。かなり高いので、怖い人はあまり覗き込まない方がいいかもしれない。


ずぶぬれになっても、晴れていれば日差しが強いので、橋を伝って駅に戻る間に大体乾いてしまう。

動物たちにも出会える

「Estacion Garganta」周辺で一服していたら、動物たちが顔を出す。道路を横切ったのはカピバラだろうか。巨大なネズミで南米ではよく見かけるという


駅のカフェの椅子に飛んできたのが黄、黒、青の羽を持つきれいな鳥だった。


鉄道に乗ろうと駅に入ったら、線路の向こうには大きなトカゲがゆっくりと歩いていた。1㍍以上はありそうだ。


「Estacion Cataratas」に戻り、アルゼンチン側に連なる滝の数々を見る遊歩道へ。こちらは森の中を縫うように、滝口の上を歩いていく。


「悪魔ののど笛」周辺の、ごう音と水煙とは打って変わって、静かな散策。鳥や虫の声なども聞こえ、なんとなくホッとする。
落ちていく水を足元に眺め、遠くに見える滝を眺める。豪快さはないが、木々の合間から見える滝、滝、滝の景色の中で、森林浴とマイナスイオン浴を同時に出来る。

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