古都京都の文化財(日本) 宇治平等院鳳凰堂・宇治上神社(洛南)
阿弥陀如来が安置されている中堂の白い壁には「雲中供養菩薩像」が張り付いている。全部で52体あるそうで、すべて違う姿をしている。こちらも国宝になっている。パンフレットにあった。
できて1000年もたっているのでだいぶ色が落ちてはいるが、壁面や壁画の彩色も残されている。完成したときは、金色の阿弥陀如来とともに相当、きらびやかな堂だったのだろうということがうかがわれる。
時代時代で様々な建築様式があるが、我々が習った「寝殿造」の代表がこの建物。「極楽浄土」を表現している。
寝殿造りの詳細は他に譲るが、辞書などから簡単に言うと、平安時代の建築様式で、南面した寝殿を中心として、東西北の三方にそれぞれ対の屋を置き、廊下で結んだ建て方。南には庭、池がある。平成の大修理を終えて、最近の写真を見ると外の柱などが赤くなっているので、かなりきれいに(創建当時に近く)なっているのだろう。赤い鳳凰堂もみたいところだ。
雨だったので、池越しにちょっと鳳凰堂を眺めた。中堂の扉の窓から阿弥陀如来の顔を拝める。すぐにミュージアム「鳳翔館」に避難した。
中堂の壁にあった雲中供養菩薩像の実物もここにある。忘れてはいけないのが名前の由来になった「鳳凰」。鳳凰堂の屋根の上に一対あるが、外にあるのは2代目で、元々の鳳凰もここに収められている。
最古の神社建築
宇治にあるもう1つの世界遺産登録建築にも行ってみた。宇治川を挟んで鳳凰堂の反対側にある「宇治上神社」という。
観光ルートにはまだなっていないようだった。雨のせいもあるのだろうが、閑散としていた。それが逆に厳粛さを出している。
鳥居をくぐっていくと、こじんまりした印象の社に着く。まず正面にあるのが「拝殿」の建物。鎌倉時代に造られた。後で裏手にある「本殿」を見るのだが、どちらかというとこちらの方が本殿かと思うほど、外見は立派。「寝殿造」というから、鳳凰堂と同じ様式らしい。
「本殿」と「拝殿」はどちらも国宝になっている。こんな小さな神社に2つも、と思いながら拝殿から回って本殿へ。この本殿、日本最古の神社建築なのだという。
調査によると1060年ごろの建築だといい、鳳凰堂と同時期のもの。祭神は菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)と、応神天皇(父)、仁徳天皇(兄)で、本殿は中にある3つの社殿からなっている。
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