古都京都の文化財(日本) 宇治平等院鳳凰堂・宇治上神社

宇治駅~宇治平等院鳳凰堂~宇治上神社

この建物の姿を一度も見たことがない人はたぶんいないのではないだろうか。1952年から発行されている10円玉に刻印されているのが「宇治平等院鳳凰堂」。何気なくでも、目に入っていることだろう。
そんな「有名」な建物には修学旅行以来2度目の2009年、行ってみた。
宇治駅から歩き始めたが、あいにくの雨の日。最初に行ったのが30年以上前なので、やはり10円玉でいつも見ている姿しか記憶に残っていなかった。
横に長い木造建築は、なかなか印象的な建物。残念ながら、鳳凰堂の前にある池の水面が雨で波立っていて、池に映る姿は見られなかった。雨だったので、早々に鳳凰堂の中堂内部を見に行った。

空飛ぶ鳳凰の姿をした建物

橋を渡り、鳳凰堂の中につながる「北翼廊」を通って、中堂に入る。中堂の背後にあるのが「尾廊」、中堂をはさんで北翼廊の反対側に同じ形の「南翼廊」があり、大きく4つの建物からなっている。
名前のつけ方からいって、上から見たら羽を広げた鳳凰の姿にみえるのだろう。
中堂には国宝の「阿弥陀如来坐像」が鎮座している。平安時代の仏師定朝の作とはっきりしている作品なのだという。
ところどころ落ちているが、全身が金色。金箔を張っている。2012年から2年間の平成大修理の際に、この金箔を調べたところ、最高純度の金箔を8枚重ねで張っているという結果が出たと報道された。さすが、時の最高権力者が建てただけのことはある。堂内は撮影禁止だった。

北翼廊へ渡る橋と尾廊(右)

平等院鳳凰堂は、パンフレットやHPなどによると、平安時代初めの摂政、藤原道長(聞いたことがあるはず)の別荘を、息子の関白藤原頼通が譲り受けて1052年に仏寺とし、平等院となったという。
阿弥陀如来を祀る阿弥陀堂として「鳳凰堂」がつくられた。末法思想、浄土信仰などという言葉も歴史で習った記憶がある方も多いかもしれない。

中堂と北翼廊

時空を超えて残った極楽浄土

当時は多くの堂宇があったというが、戦災などでほとんどが焼失し、鳳凰堂のみが現在まで生き残った。きわめて貴重な建物であることに間違いない。
10円玉でいいのかとも思うし、子供も手にする10円玉だからいいとも思う。1952年の10円の価値と現在ではだいぶ違う。筆者が子供のころはお小遣いで10円くれたらおやつが買えた。

中堂と南翼廊

阿弥陀如来が安置されている中堂の白い壁には「雲中供養菩薩像」が張り付いている。全部で52体あるそうで、すべて違う姿をしている。こちらも国宝。
できて1000年もたっているのでだいぶ色が落ちてはいるが、壁面や壁画の彩色も残されている。完成したときは、金色の阿弥陀如来とともに相当、きらびやかな堂だったのだろうということがうかがわれる。
細かな建築様式は専門的なので他に譲るが、我々が習った「寝殿造」の代表がこの建物。「極楽浄土」を表現している。
寝殿造りの詳細は他に譲るが、辞書などから簡単に言うと、平安時代の建築様式で、南面した寝殿を中心として、東西北の三方にそれぞれ対の屋を置き、廊下で結んだ建て方。南には庭、池がある。平成の大修理を終えて、最近の写真を見ると外の柱などが赤くなっているので、かなりきれいに(創建当時に近く)なっているのだろう。赤い鳳凰堂もみたいところだ。

雨だったので、池越しにちょっと鳳凰堂を眺めた。中堂の扉の窓から阿弥陀如来の顔を拝める。すぐにミュージアム「鳳翔館」に避難した。

中堂の阿弥陀如来像

中堂の壁にあった雲中供養菩薩像の実物もここにある。忘れてはいけないのが名前の由来になった「鳳凰」。鳳凰堂の屋根の上に一対あるが、外にあるのは2代目で、元々の鳳凰もここに収められている。

鳳凰堂の屋根に立つ鳳凰

最古の神社建築

宇治にあるもう1つの世界遺産登録建築にも行ってみた。宇治川を挟んで鳳凰堂の反対側にある「宇治上神社」という。
観光ルートにはまだなっていないようだった。雨のせいもあるのだろうが、閑散としていた。それが逆に厳粛さを出している。


鳥居をくぐっていくと、こじんまりした印象の社に着く。まず正面にあるのが「拝殿」の建物。鎌倉時代に造られた。後で裏手にある「本殿」を見るのだが、どちらかというとこちらの方が本殿かと思うほど、外見は立派。「寝殿造」というから、鳳凰堂と同じ様式らしい。

宇治上神社拝殿

「本殿」と「拝殿」はどちらも国宝になっている。こんな小さな神社に2つも、と思いながら拝殿から回って本殿へ。この本殿、日本最古の神社建築なのだという。
調査によると1060年ごろの建築だといい、鳳凰堂と同時期のもの。祭神は菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)と、応神天皇(父)、仁徳天皇(兄)で、本殿は中にある3つの社殿からなっている。

宇治上神社本殿

建物の格子の壁で外からは隠されているが、格子からすかして中の本殿を見ることは可能だ。この神社は、平等院の鎮守社としての役割があったとされている。
境内には苔むした屋根の「春日社」という重要文化財の社もある。

宇治上神社境内の春日社

鳳凰堂、宇治上神社とも宇治駅から近く、多少の雨でも両方歩いて回るのは可能なので、鳳凰堂だけではなくこちらにも足を伸ばしてみてはいかがだろう。

1994年登録

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