チュニスのメディナ(チュニジア)
「ここに入りましょう」と連れて行ってくれたのが、9世紀にできたグランドモスク。普通はイスラム教徒しか入れないそうだが、入り口にいた人とカウターさんが話して、のぞかせてくれた。
広い中庭が印象的で、外壁の一角に四角いミナレット。これは、スークの路地からも見え隠れしている。たぶん、ランドマーク的な塔なだろう。
近くにシディ・ヨセフ・モスクがあり、こちらは八角形のミナレットが立っている。姿としてはこちらの方が美しい。
迷ったときはミナレットを探せ
迷路のようなメディナの中で、ミナレットが見えると方向が分かり、ほっとする。狭い空だが、わずかしか見えなくても格好の目標になってくれるので、高い建物は覚えておこう。
メディナを東から西に突き抜けて、いったんカスバ広場へ出て休憩後、メディナの北側へ入った。閑静な住宅街で、歴史的建造物が点在している。
19世紀に建てられたハエルディン宮殿の前を通り、18世紀の提督ラスラムの邸宅(ダール)へ。タイルで飾られたり、漆喰の彫刻を施した壁が見事に残されている。
ここにはメディナ保存協会が置かれていて、街の修復の様子のパネルが展示されている。別棟には喫茶室もあり、甘いミントティーでひと息ついた。古い町だけに、景観を損なわない修復を常に行っている。
メディナは東西700㍍、南北1㌔ほどのだ円形の街だが、道が入り組んでいるので、けっこう歩いた感じがする。
緑色のきれいなドームを持つモスクも、路地のの一角にどっしりと構えている。こうしたきれいな建物が所々にあるので歩いていても飽きない。
「日没までに出ないと、真っ暗になる」。多くの路地に街灯はないという。腰を上げると、夕暮れの中を急ぎ足でフランス門に戻った。
逃亡した大統領を祝っていた街
フランス門から続くブルギバ通りを含め、国旗の小旗がいたるところに飾られていた。実はベンアリ大統領の政権23周年を祝う飾り付けだった。「お祝いですね」と言ったら「もう長いだけ」と、ちょっと顔をしかめたカウターさんの微妙な言い回し。今思えば、それが市民の感覚だったのかもしれない。
その後、チュニジアはどうなっているだろうか。メディナの喧騒はたぶん変わらないだろうが。
1979年登録
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