モスクワのクレムリンと赤の広場(ロシア)

「大砲の皇帝」「鐘の皇帝」…皇帝だらけ

少し進むと「大砲の皇帝」という巨大な大砲が鎮座している。
口径89㌢、重さは40㌧。世界最大の大砲だという。戦艦大和の主砲口径が46㌢だから、倍近くある。
一度も発射されたことはないといい、当時のものではないが砲弾も置いてあり、1発1㌧。ただ、砲身長は5.34㍍で口径に比べてかなり短い(大和は砲身長約21㍍)。

火薬や砲弾にもよるが、たぶん発射してもそんなに飛ばないか、どこに飛んでいくか分からないような気がする。飾りではないだろうから、威嚇用だったのかもしれない。
「鐘の皇帝」も人気だ。クレムリンには「皇帝」がついたものが多い。「大きい」とか「偉大」と同義語なのだろう。
この鐘は1735年に鋳造が始まり、高さ6.14㍍、重さ200㌧超で世界最大とされる。

完成直前にクレムリンが火事に見舞われ、木屋根が鐘の上に落ち、慌てた者が水をかけて消火したため、ひびが入ってしまい、11.4㌧分の青銅が欠けてしまったという。鐘の表面には鋳造を命じたアンナ・イオアンノフナ女帝ら皇帝や聖人の肖像が描かれている。

「クレムリン」の意味は

元老院(大統領府)を通り、出口のトロイツカヤ塔へ向かう。このあたりが、旧ソ連の政変の舞台だったのだろうか。出口の手前、国立クレムリン宮殿には、ロシアの国章「双頭の鷲」が掲げられていた。
クレムリンというのは、古代ロシア語で「松の木で建てた要塞」を意味する「クレムニク」が語源とされると、ガイドブックに書いてあった。
ロシア国内の多くの都市に「クレムリン」がある。なので「○○のクレムリン」と都市名をつけた呼び方をしている。
モスクワのクレムリンはモスクワ川とネグリナヤ川に囲まれ、防御に適した土地で要塞を築くのには最適だったようだが「最初は川を使って交易する商人の町だったと言われます」とガイド。12世紀にはモスクワの原型ができていたという。
モスクワのクレムリンといえば、赤い城壁。2.5キロ近い壁でぐるりと囲まれている。
「赤」の印象が強いが「元々は赤レンガに白い漆喰が塗られていたそうです。レンガは安い材料なので、外国に馬鹿にされないようにしたそうです。いまは赤く塗ってあります」とガイドかいう。
政治体制の変化もあって、色も変わったのだろうか。壁の厚さは2~6㍍、高さも7㍍ル以上あり、堅固な要塞の体をなしている。14世紀に築かれたそうで、イタリアのミラノの城壁をモデルに作ったという。

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