慶州歴史地域(韓国)

慶州市街~慶州博物館~雁鴨池~月城~瞻星台(チョムソンデ) ~大陵苑地区~天馬塚~皇龍寺地区~芬皇寺

 

「青空の博物館」と称される街がある。釜山から高速バスで1時間ほど。韓国の古代国家「新羅(シルラ)」の都に2015年、行ってみた。
慶州(キョンジュ)高速バスターミナルを降りて荷物を置きにホテルへいった。繁華街の中にあるホテルの窓から見える隣の公園。芝で覆われた小山がある。

後でわかったのだが「路西洞古墳群」という。見ているのは「墓」なのだ。公園になっていて、普通に古墳の周りを散歩したりジョギングしたりしている。「こんな街中に」と思ったが、古墳群や遺跡の中に街ができたという方が正しいのだろう。「青空の博物館」といわれる所以も分かった。

入場無料の博物館に国宝が並ぶ

昼食をとった後、まずバスで15分ほどのところにある「国立慶州博物館」に行った。入場料無料だった。写真もフラッシュをたかなければOK。平日だったが、子供たちもたくさん来ていたのは社会見学だったのかも。
ただ、売店やパンフレットのたぐいは見当たらず、展示品の説明もほとんどはハングルと英語。漢字表記もあればもっと理解できそうなのだが、古墳から発掘された副葬品のオリジナルの国宝や精巧な複製から、庶民の生活道具などまで数多く展示されている。

言葉の問題もあるので正確さと詳細さには欠けるが、新羅のあらましが分かることは確かなので、市内を歩く前にちょっと予習していくことをお勧めする。金冠(天馬塚、金冠塚ほか)や仏像など、多くの国宝も展示されている。

博物館を出発点にして市中心部へ向けて歩く。世界遺産になっている遺跡や建物が点在している。博物館前の大通りを左に行くと、右手に「雁鴨池」が見えてくる。

池の水を抜いてみたら

7世紀半ばに半島統一を記念して第30代文武王が造った池を中心とした庭園。935年の新羅滅亡時に破壊されて、美術品などを池に放り込んだといい、水を抜いたところ池底から膨大な出土品が見つかったそうだ。
慶州博物館の「雁鴨池館」に出土品や往時の模型が展示されていた。池のほとりに復元した建物が建っていたが、当時と同じかどうかなどは分かっていないらしい。

雁鴨池を通り過ぎて左手にある小山に道がある。少し上がっていくと、発掘中の広場のような所に出る。
「月城」という新羅の王宮跡。101年から935年まで王宮が置かれていたという。城壁跡に囲まれた形から「半月城」「新月城」などとも呼ばれている。

左手に城跡を見ながら行くと、古墳のようなものがある。「石氷庫」という氷の保管庫で、新羅時代のものではなく李氏朝鮮時代のものだという。これと同一のものかはわからないが新羅時代の6世紀に氷の貯蔵庫があったという記録は残っている。
いずれにしろ、世界最古の冷蔵庫らしい。入口の扉の隙間から手を入れてみたが、ひんやりしていた。富士山麓にある氷穴などと原理は同じなのだろう。

 

丘を下っていくと「鶏林」がある。伝説によると、枝に金の箱がおいてあり、近くで白い鶏が鳴いていた。時の王が金箱を開けると男の子が入っていたため、金閼智(キム・アルジ)と名付けられて慶州金氏の始祖になったという。

善徳女王が築いた東洋最古の天文台

林の横を抜けると、目の前が開けて左手に古墳群、右手に塔のようなものが立っている。「瞻星台(チョムソンデ)」という東洋最古の天文台といわれている。

この天文台は、7世紀の第27代善徳女王が建てたもので、天体観測をすることで、治世や農業、天気予報などに利用したという。
徳利のようなおもしろい形をしていて、中央付近に大きな窓がある。ガイドブックによると、積み上げている花崗岩のブロックの数は陰暦の1年にあたる361個半、最上部の井型は各面が東西南北を向いている。

窓は真南に開けられ、窓より上部が12段、下が12段、基壇は12個の石など、石の個数や方角で1年12カ月、24節気などを表しているという。361個半の「半」がどの石なのかはわからなかったが、政治に科学を取り入れたものだったようだ。
入口は見当たらなく、中の様子がわからないので、どうやって観測したのかは外から見ただけでは想像がつかなかった。たぶん窓から入って中から外を見て太陽や月、星などを観測したのだろうか。慶州のシンボルというのもうなずける謎めいた姿だった。
そこから街の中心部に向かうバスに乗った。博物館からぶらぶらと歩いて約半日。けっこうなウオーキングになった。

街中に点在する古墳群

夕方、慶州駅前から続く繁華街で食事をするため、ホテル横の「路西洞古墳群」の公園に入った。ホテルの窓から見えたのはどうやら「瑞鳳塚」で、歩いていくと金冠が出土した「金冠塚」がある。

そこから繁華街に入っていくと、右手に「路東洞古墳群」。「鳳凰台」という新羅最大の巨大古墳がそびえていた。

 

慶州に点在する新羅の遺跡、遺構などは広範囲に渡っている。世界遺産のあるところは大きく5つの地区に分かれている。瞻星台がある「月城地区」のほか「大陵苑地区」「皇龍寺地区」「南山地区」「山城地区」がある。
歩いていける街中以外は「足」が必要だ。バスは頻繁に行き来しているが、バスの表示はハングルと番号だけ、路線図もハングル(要所は英語併記)なので、乗りこなすのは難しい。ということで、翌日は朝から自転車を借りた。

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