ラバト(モロッコ)
現在の国王、ムハンマド6世がここの主。ラバトは紀元前3世紀ごろには人が定住していたとされ、12世紀のムワヒッド朝のヤークーブ・マンスールがここに城壁を築いて首都とした。
13世紀に中心地がフェズに移って衰退したが、17世紀に海賊の拠点となり、19世紀にフランスがモロッコを保護領とし、1912年に首都がフェズから帰ってきた。
1956年の独立後も首都としていまに至っている。というのが、ガイドやガイドブックによる、ラバトのあらまし。大西洋に面し、ちょっと回れば地中海。海賊が目をつけたのだから、地の利のいい場所だったのは間違いない。
現在の王宮は1864年に建てられた。王族専用のモスクは、比較的新しい印象。国王がこの王宮にいる場合は土曜日に礼拝するという。
モスクのミナレットには、三角形の旗が掲げられている。これはメッカの方角を示しているという。もちろん、中には入れないので、周りをぐるっと1周。遠目にはわからなかったが、壁などの装飾はさすが王族専用だけあってきめ細かい。
天井の装飾が印象的な霊廟
王宮を出て「ムハンマド5世の霊廟(Mousolee Muhammad Ⅴ )」に向かう。今の国王の祖父。フランスの保護領になったときに一時中断しているが、17世紀から続くアラウィー朝の国王。
「1956年に独立したときはスルタンでベン・ヨーセフと言いましたが、独立後にムハンマド5世になりました。遺体は霊廟の真ん中に置いてあります」とガイド。
霊廟は1961年に死後、1973年に完成した。彫刻が施された白壁に緑の屋根。モロッコの伝統的なものだという。
塀の外側には馬に乗った赤い服に白いマントの衛兵、内側の霊廟入口にも衛兵が立っている。どちらも一緒に記念撮影してくれるのでどうぞ。
霊廟内に入ると、まず、天井から壁一面にイスラムの幾何学模様の装飾がびっしり描かれているのが目につく。石の棺はちょうど2階から見下ろすように置かれている。
ランプの光が、金の装飾を照らして、きらびやかだ。周囲はぐるっと1周できる。下ばかりに目が行くが、装飾の中では特に天井がきれいなので、上を見るのを忘れないようにしたい。
途中で建設が止まった巨大な塔
外に出ると、広場の先に「ハッサンの塔(Tour Hassan)」が建っている。1195年にヤークーブ・マンスールが88㍍のミナレット建設を開始したが、4年後に死去し、半分の44㍍まででいったところで工事が中断。いまも未完のままだ。
ガイドによると、同じモロッコのマラケシュにある「クトゥビアの塔」、スペイン・セビリア(セビージャ)の「ヒラルダの塔」と並ぶ「世界3大塔」の1つなのだという。高さだけの問題ではないのだろうか。
全体がレンガでできており、中央部にはやはり彫刻がある。800年以上経っているためか、少し黒ずんでいる。
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