ウルル・カタジュタ国立公園(オーストラリア)

芋虫に似た奇妙な「元1枚岩」

ウルルは一枚岩のまま、現在までその姿をとどめているが「元一枚岩」の奇妙な岩山がある。

映画「風の谷のナウシカ」にでてくる「王蟲(オーム)」という未来の「芋虫」のような巨岩が、ウルルの近くにある。

アボリジニの言葉で「カタジュタ」( Kata Tjuta)。たくさんの頭を意味する。かつてはマウント・オルガ(Mount Olga)とも呼ばれていた。もともと、ウルル同様に一枚岩だったらしいが、こちらは侵食に負けて、まるっこい36個の岩山に分かれてしまったという。

近くで見るよりは、車窓や展望所、ウルルの頂上から、全体を見た方が、この山(岩)の「奇妙さ」が分かる。

風の谷を行く

映画の宮崎駿監督側はそうしたうわさを正式に否定している。ただ、そんな「伝説」が生まれるだけの要素はあるようだ。カタジュタの中にある谷は「風の谷(Vally of the Winds)」と名づけられている。

カタジュタを遠くから眺めると、確かにうわさの未来芋虫の群れのようにも見える。ただ、映画に出てくるナウシカの風の谷とは、光景は全く違う。

「芋虫」に挟まれるようにある風の谷には、遊歩道がある。1時間ほど散策時間があったので、とりあえず30分かけて行けるところまで行くことにした。

水分補給が欠かせない

砂漠の真っただ中。「定期的に水を取ってください」と注意されて送り出される。行ったのは9月で、オーストラリアでは春だったが、ジリジリと照りつける日差しで気温は32、33度ぐらいだったと思う。

乾いた空気の湿度は10%もないだろう。のどや体に乾きはそれほど感じないのだが、知らないうちに、でも確実に体から水分が奪われている。水分補給は忘れずにしたい。

そんな乾いた大地で、こんな巨大な岩が水や風に「侵食」されてしまうとは、さぞや年月がかかっただろうと思ってガイドに聞いてみると、カタジュタが地表に出てから5億年以上たっているという。

ウルルと同じ時期に地表に現れたころは、まだこのあたりにも水が普通にあったのだろうか。

500メートルの岩壁は穴だらけ

崩れた石がゴロゴロしているので、足元は悪いが、奥へと歩いていくと途中から小川が流れているのに出くわす。ウルルといい、こんな砂漠でどこから水がくるのかと思いながら、谷なら水はあっておかしくないか、と納得させた。

 

風の谷を流れる小川

 

一番高いところで500㍍ほどあるというだけあって、左右の岩壁はそそり立っているという感じ。全体が大きすぎるので「500㍍」と言われても、ピンとこない。

岩の表面をみると、のっぺりとして、穴がポコポコ開いている。多くは、今の山容になってから、風化でできたものだという。いろいろ形の穴があるので、見ていて飽きない。

橋を渡り、しばらく歩く。植物は強い。小川の周囲には草や木が茂り、ワイルドフラワーがさまざまな色の花を咲かせている。30分ほどたったところで「回れ右」をしたが、谷間の奥は深そうだ。

500㍉㍑のペットボトルを2つ持っていき、少しずつ飲みながら引き返す。ベンチも置いてあるので、そこで一休みするのもいい。岩壁のでかさが実感できる。さすが風の谷、さほど涼しくはないが、風を感じる。

1987年登録

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