古都奈良の文化財(日本) 春日大社
神は鹿に乗ってやってきた
春日大社は、今から約1300年前、奈良に都(平城京)ができたころに創建された。神話の「国譲り」を成就させた神、武甕槌命(たけみかづちのみこと)を鹿島神宮(茨城県)から迎え、降り立ったのがさきほどの御蓋山山頂だったという。
この神が乗ってきたのが神鹿。鹿は神の使いなので、奈良公園では手厚く保護されている。
768年に称徳天皇の勅命でこの地に4つの社をたて、第一殿に「武甕槌命」、第二殿に香取神宮(千葉県)から「経津主命(ふつぬしのみこと)」、第三殿に枚岡神社(大阪府)から「天児屋根命(あめのこやねのみこと)」、第四殿にその后神の「比売」(ひめ)神」を招いて鎮座した。それぞれの神については他に譲る。
日本各地の偉大な神様を集めた強力な力で、世界の平和、日本の繁栄、国民の安寧を守っている。
中門を過ぎていくと「一位橋」という説明板。そこが開いていて、造替中の御本殿、4つの社が見えた。「春日造」という建築方法で、朱色が雨の中でも鮮やかだ。
中門を過ぎたあたりで、後ろの庭を振り返って見よう。「林檎の庭」という、神楽などを奉納する庭があり、その角に大きな杉が立っている。鎌倉時代の「春日権現日記」に幼木で描かれているというから樹齢800年は超えている。
渡り廊下を通って「移殿(うつしどの)」に行った。859年創建で「仮御殿」ともいう。本殿の4柱の神が、20年に1度の造替中はここに鎮座している。
普段は御本殿がある内院は、皇族や神職以外は入れない。神がこの移殿に遷座した後、神がいなくなった御本殿を特別公開したというが、移殿に鎮座している時が最も4柱の神に近づけるということにもなるのだろう。中は撮影禁止。手を合わせてきた。
移殿の裏手に出て、奥に進むと「多賀神社」(延命長寿の神)の社を経て「藤浪之屋」という看板があった。特別拝観で扉が開いていたので入って見た。中は真っ暗で、明かりを入れた燈籠が無数に下げられている。幻想的な雰囲気だ。
春日大社には、さまざまな人から奉納された燈籠が約3000基あるという。中門の周りで見てきたように、いたるところにぶら下がっている。
仮御殿裏の「清浄門」から御本殿の外に出た。いったん南門まで戻って「若宮15社めぐり」へ。「若宮神社」を1番目として、15の社を巡る。
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