カサーレの別荘(イタリア)

10人のビキニ美女もいる

「ローマが世界の中心だったというモザイクです」というのは、さまざまな動物を船に積み込んでいるモザイク。「グレートハンティングの廊下」と呼ばれている。象やライオンなど、アフリカから動物を連れて行く光景を描いている。


アフリカで捕獲した動物をローマにもっていく。ローマのコロッセオでの「ショー」に使われたのだろうか。


「たぶんみなさんはこれを見たかったでしょう」というのが10人の女性のモザイク。ビキニのような服をきて何か運動のようなことをしている。


ダンベルを持っていたり、ボールのようなものを投げ合っている。ローマ帝国時代でもそうした運動が行われていたようだが、女性もやっていたということなのだろうか。


子供を題材にしたモザイクも増えてくる。女の子の部屋と思われる床には、香水にするバラを摘んでいる様子が描かれているという。


男の子の部屋と思われるところには、競技場で鳥に引かせる車で競い合う様子が描かれている。

1700年前の生活ぶりなどがモザイクを見ることで何となく想像がついてくる。そういう意味でも貴重な資料なのだろう。

寝室に描かれたモザイクは?

モザイクを使って勉強もしていたらしい。「ここは息子に様々なことを教えるためのモザイクになっています。勉強部屋だったのでしょう」という。作物を育てたり、動物を捕まえたりというモザイクが描いてある。


「イルカに乗った少年が真ん中にいる部屋は読書部屋だったとされています」という。イルカに乗っているのは少年には見えなかったが…。周りにいるのはたぶん神々だろうと思われる。


果物がたくさん描かれている部屋は「朝食に使われたのでは」。イチジクやプラム、リンゴやナシなど、当時の人たちの食卓にものったのだろう。

そろそろ別荘の一番奥の方に来た。といえば、主寝室になる。「寝室なので、そのようなモザイクになっています」とガイドもニヤリとした。


中央に、それらしい、ちょっとエロチックなモザイクが描かれている。

最後に見た部屋には寝室の控え部屋で、ユリシーズの話からとった「3つ目の男性」のモザイクが。「3つの目はシチリア島の3つの岬で、男性はシチリア島を表しています」という。確かシチリア島は3本脚(トリナクリア、三脚巴)で表しているはずだが、ローマ時代は3つ目だったのだろうか。


ここで見学路はまた地面におりて、大きな部屋に入る。床は相当傷んでいて、モザイクなどもあまり残っていないようだが、まだ修復途中なのかもしれない。「会議室、議事堂のようなところだったと考えられます」という。別荘とはいえ、仕事場でもあったようだ。


議事堂を抜けると、外に出る。とにかくモザイク、モザイク。これだけのローマ時代のモザイクを一度に見られるのは、いままでなかった。チュニジアのバルドー美術館の方が量は多いが、国中の遺跡から集めたものだった。
1軒の別荘でこれだけのモザイクを使った贅沢さに感心した。

1997年登録

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