アジャンターの石窟群(インド)


アジャンターの石窟には大きく2つの様式がある。1つはヴィハーラ(僧院)、もう1つはチャイティヤ(礼拝堂)。壁画が見事だった第1、2窟はヴィハーラで、石窟群にはチャイティヤは5つあるという。

第9窟は第10窟とともに紀元前1世紀から2世紀にかけてつくられた前期のもので、最古のチャイティヤだという。
ヴィハーラは入り口が簡素でただ入るためだけの小さいものだったが、チャイティヤとなると違うらしい。入り口の岩壁には装飾で施され、窓もついている。窓の周りなどを飾る馬蹄形の彫刻は「菩提樹の葉の形」(ガイド)なのだそうだ。


第9窟の中は、窓があるだけにヴィハーラのような暗さはない。奥行きがあり、部屋の両側には柱が並んでいる。もちろん、削り出されたもの。一番奥には「ストゥーパ」と呼ばれる仏塔がある。


ストゥーパは元々仏舎利を収めた円い塚で、卒塔婆の語源でもある。前期なので小乗仏教(上座部仏教)の時代。仏像ではなく、ストゥーパが礼拝の対象だった。「水で流されてあまり残っていない」(ガイド)という壁画も一部は見られた。


隣の第10窟もチャイティヤ。こちらの方が規模は大きい。アジャンターは8世紀には放棄されて忘れられていた。1819年、東インド会社のジョン・スミスという英国人が虎狩りにきて偶然この谷に足を踏み入れ、最初に見たのがこの第10窟だったという。
その時に目に入ったのが、第10窟の入り口にある装飾だった。1000年以上忘れ去られていたことになる。


ストゥーパの前ではお坊さんが礼拝をしていた。単なる遺跡ではなく、今も現役の寺院でもあるのだろう。

古代の画家が使ったパレット

よく見ると、両側の柱は八角形のものが多い。壁面や柱には絵が描かれている。傷んではいるが開窟されてから2000年以上たっているとは思えない。


床には奇妙なくぼみが並んでいる。「当時のパレットだったと考えられています」とガイド。柱に発見者のジョン・スミスがサインを残しているというが、よくわからなかった。

釈迦の物語が生き生きと描かれる

ここからしばらく未完成窟がつづいた後、第16窟、17窟でまた素晴らしい壁画や天井に出合う。


第16窟では天井を見上げたい。梁、といっても掘り出されたもので取り付けられたものではないが、梁を支えているように彫られているのは「昔の労働者」(ガイド)だという。


壁画は仏教説話。奥には「リラックスした姿の」(ガイド)仏像がある。椅子に座って、足を開いている。日本ではあまり見かけない。足元の穴は賽銭入れだという

足を開いて座る釈迦

第17窟の壁画は保存状態がいい。まず、ここでも入り口の天井を見上げよう。植物と思われる絵がきれいに残っている。


窟内には釈迦の物語「ジャータカ」を中心に描かれているそうだ。第1、2窟に比べると少し明かりがあるのだが、奥に進むとやはり暗い。

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