
古都奈良の文化財(日本) 興福寺・元興寺
入場券を買う時には聞き忘れたが、前回のことがあったので、入口で「阿修羅像はいますか?」と係の人に聞いたら「おられます」。今回は貸し出されていなかった。
館内は撮影禁止なので、実際に自分の目で見てきた方がよろしいかと思う。
阿修羅像は国宝「八部衆立像(脱活乾漆造り)」の中の1体だが、表情が素晴らしく、人気者になった。興福寺HPによると、八部衆は元々インドの異教の神を集めて仏法を守っている。734年に創建され、現在はなくなっている西金堂に置かれた。
阿修羅は「アスラ」といい、悪の戦闘神だったが、仏教に取り入れられてからは釈迦を守護する神になった。三面六臂、3つの顔と6本の腕がある。
また、飛鳥山田寺のものだったとされる銅製の国宝「薬師如来仏頭」(685年)も有名で、拝観券の写真になっている。

特別開扉の時に行きたい
国宝館を出て、境内の中庭のようになっている回廊跡に沿って行くと、再建工事中だった「中金堂」がある。2018年に完成したというので、今は真新しい中金堂が見られるのだろう。
ちなみに金堂は寺の本尊を安置した本堂に当たるもので、興福寺には東と中、そして今はなくなっている西と3つの金堂がある。本堂がそんなにあるということは、相当大きな寺だったことがうかがえる。

回廊を過ぎると、八角形の屋根の面白い建物がある。「北円堂」という。法隆寺(世界遺産)の夢殿のような形をしている。
721年に建てられ、現在のものは1210年ごろの再建。本尊は弥勒如来像で、無著・世親立像、四天王立像と国宝が安置される。春・秋の特別な期間に公開されることがあるという。

北円堂
進むと対になるように「南円堂」という同様の建物がある。813年に建立され、現在のものは1741年創建。本尊は不空羂索観音像で、四天王立像、法相六祖座像と国宝が収められている。西国三十三所の第9番札所になっていて、こちらは10月17日に特別開扉される。

南円堂
南円堂の先にある階段を降りて、帰路に就く。斜面には奈良らしく、鹿が群れていた。

最後に忘れてはいけないのが「三重塔」。こちらも国宝だ。1143年に建立され、鎌倉時代初期に再建されているという。内部には東西南北に薬師如来、釈迦如来、阿弥陀如来、弥勒如来が各1000体ずつ描いた板絵があるというから、豪華な塔だ。7月7日に特別開扉されるという。

国宝満載のお寺、特に特別開扉の時に見たいものだ。
興福寺と並ぶ規模だった元興寺
世界遺産に登録されている寺として「元興寺」がある。少し時間があったので、地図で探した。興福寺から歩いてもそう遠くない。猿沢池の東側の道を南下し、ぶらぶら歩いて10分ほどで着いた。

中をのぞくと、国宝の本堂「極楽堂」が見えた。きれいな建物だったが、中に入るまでの時間がなかったので、のぞくだけにした。
同寺のHPによると、日本で最初の本格伽藍の法興寺(飛鳥寺)を710年の平城京遷都で移転してできたのが元興寺で、かつては興福寺と並ぶ大伽藍を擁していたという。罹災で多くが失われ、現在の極楽堂も鎌倉時代の創建という。

本堂の裏手には国宝の禅室も残る。往時の隆盛は想像するしかないが、興福寺に負けない歴史があるようだ。
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