チトワン国立公園(ネパール)

銃による狩猟の場から保護の場へ

チトワン国立公園はネパール南部にあり、インド国境に近い。マラリヤの発生域だったため人間が入り込めなかった場所だったが、マラリヤ撲滅とともに第2次世界大戦前までは外国からの来賓を狩猟でもてなす場所になっていた。
象を使ってベンガル虎や豹、インドサイなどを追い立てて、ただ狩るためだけに大量に射殺していたという。
ホテルには何十頭もの虎や豹の毛皮や何十本もの象牙を前に得意げに銃を抱えてポーズをとる人たちの古い写真が何枚も飾られていた。銃を肯定する人は使う側の問題というだろうが、こうした無用の虐殺を見ると、銃の発明自体が地球には不必要だったのではという気になる。
いまや絶滅危惧種になっているそれらの動物たちを保護するために、1973年に国立公園となった。かつては王室のもので公園名に「ロイヤル」と冠されていた。まだベンガル虎や豹などは数が少なく、警戒心もあるため、象サファリで見られることはほとんどないという。
象使いは時折、「象語」で象を止め、地面に下りていく。落ちているビニール袋やペットボトルなどのごみを回収していた。自然保護の精神が行き届いている公園だった。

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