大足石刻(中国)
仏西方極楽浄土の様子をみせる「観無量寿仏経変相」や閻魔大王を中心にした「地獄変相」など大きな石像、石刻が集まったところも人気があるそうだ。
多くの石刻には、彩色がしてあったようだ。いまはだいぶ色が落ちてしまっているが、完成時は華やかだったと想像できる。
仏教遺跡といわれるだけあって、大仏湾全体にわたって、仏の教えを描いている。大がかりなものではなく、小さな石刻が集まったところが多く、それぞれテーマがあるようだ。
ブッダの一生、仏を守護する虎などの動物、牛の一生でたとえる人間の一生、親への恩を表す話、庶民の生活ぶりなどなど、さまざまな題材の石刻が岩壁に浮き彫りされている。
多くが仏教説話、教義を基にして日常生活などになぞらえ、文字がわからなくても見ることでわかりやすく教えているという。
男性は左手、女性は右手を上げ、目をつぶって前に歩いて壁にある突起に触れると「幸運が舞い込む」という占いをできる石刻もあったりして、その時代の人にとっては仏教を覚えるテーマパークのような存在だったのかもしれない。
19世紀ごろまで作られ続けていたそうだが、製作途中で止めたものもたくさんあり、四角く切り出されただけの岩も数多く残っている。中間付近にある売店に日本語のパンフレットがあるので、手に入れておくと少しは便利だ。
今回は行かなかったが、宝頂山同様に石刻が集中している北山や南山もこの「大足県」にある。大足全体では50か所近くに約5万体の石刻があるという。この地が仏教にとってどういう土地だったのかはわからないが、彫りやすい石が多かったのだろうか。
重慶への帰りも高速を乗り継いで戻る途中、にわか雨があった。重慶都心部に入る直前「ちょっと車を洗います」とガソリンスタンドのような洗車場へ。「重慶では雨が降った後に泥がついたままの車で市街地に入ると、罰金を取られるのです。汚れを持ち込んではいけないのです」とガイドが教えてくれた。
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