
エフェス(トルコ)

ハドリアヌス神殿跡入口
ハドリアヌス神殿跡は、裕福な市民が138年に造り、皇帝に献上した。アーチ形の門には彫刻が施されて美しい。門の正面には街の繁栄をつかさどる女神ティケ(チュケー)や、ギリシャ神話の髪が蛇、目を見た者は石になるというメドゥーサが彫られている。壁面には建国伝説やアルテミスなどが描かれているそうだ。

トラヤヌスの泉は皇帝トラヤヌスに捧げられた泉を建物で囲んでいた。ほとんど立っているのがやっとという風情の柱などがある。

トラヤヌスの泉
原形をとどめていないのが残念だが、道の両脇にはモザイクに飾られた住居跡や商店などがあった。たくさんの柱が残っている。かなり大きな街だったようだ。

持ち去られたのか、頭がなくなった大理石像や、勝利の女神「ニケ(ナイキ)」の彫刻などが道の左右に無造作に置かれていた。

「面白いものがあります」とガイド。道の一角に足跡と文字。「娼館はこっちにありますという目印です」という。水路に流す公衆トイレなども「完備」されている。なんでもありそうな街だ。

聖母マリアが余生を送った地
発掘中だったのか、時間の問題か、理由はよくわからないが、ガイドが「ここで引き返します」といったところの目の前には、廃墟のような遺跡が広がっていた。神殿や「アゴラ」という集会所があったという。

巨大都市も、要の港が土砂の堆積などで埋まっていったため、8世紀ごろには放棄されたという。都市遺跡はほとんど未発掘でどれぐらいの規模か分かっていない。行ってからもう15年以上経ち、世界遺産にも登録されたので、発掘や修復は進んでいることだろう。

都市遺跡を離れて、近くの山中にある「聖母マリアの家」にいった。イエス・キリストの磔刑後、聖母マリアが聖ヨハネとともに住んでいたといわれていた場所で、実際に紀元前後の家の遺構が発掘されたという。

いまはしっかりした石造りの家が建てられ、シーンとした静かな雰囲気。キリスト教の聖地になっており、ローマ教皇も訪れるという。
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