
エローラの石窟群(インド)

そして、目の前が開ける。巨大な中庭のようになった空間の中央には本堂(本殿)がある。ホールの周りには1段高くなった回廊が巡らされている。回廊に上がって、まず本堂の周りを時計回りに回った。

左手の回廊の巨大な柱の奥に「三大河の女神像」がある。ガンジス(ガンガー)、ヤムナー(ジャムナー)、サラスワティ―(サラスヴァティー)の3つの川の女神はそれぞれワニ、亀、象に乗っている。

三大河の女神像
ボルトのポーズはこの人が元祖?
回廊には彫刻や小さな堂が彫り込まれている。シヴァ神とパールヴァティー神夫妻のくつろいだ姿など「珍しい彫刻」(ガイド)も見られる。

シヴァ神が主で、象徴のリンガ(男根)も彫り込まれている。陸上のスーパースター、ボルトのポーズ? のシヴァ神。弓を引いている姿は今にも動き出しそうだ。

柱越しに本堂の壁も見えるので、右(反時計回りなら左)を見ながら歩こう。本堂の左側の壁にはインドの叙事詩「マハーバーラタ」の場面の精緻な彫刻が施されている。

刻まれた「マハーバーラタ」
本堂の後ろに回り込むと、本堂が「山」をイメージしてくくられているのがよく分かる。下には象の彫刻が何頭も並んでいる。本堂の右側に回り込んで回廊を降りる。
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こちらの本堂壁面に今度は叙事詩「ラーマヤーナ」が彫り込まれている。その他にも、精緻な彫刻が本堂周辺の壁に所狭しと彫られている。

「ラーマヤーナ」の彫刻
「山」を再現した寺院
本堂は高さ33㍍あるという。残念ながら、回廊など下からではどの角度からも全貌は見えず、日を浴びた頂上(?)付近が周りを囲む堂の間から見える。たぶん崖の上に行かないと見えないだろう。
カイラーサというのは、ヒマラヤにあるシヴァ神が住む山の名前だ。
道端で値切って買ったガイドブックなどによると、エローラ石窟群は6世紀から300年ほどかけてつくられたという。仏教窟からつくられ始め、7世紀ごろから並行してヒンドゥー窟、9世紀ごろにジャイナ教窟と造られた。

もちろん、重機はないのでいわばノミと槌の手作業。カイラーサ寺院の敷地全体は幅45㍍、奥行き85㍍ほど。本堂の高さが33㍍なので、岩山を12万立方㍍以上の範囲を掘削したことになる。
しかも、本堂をはじめとする堂や、壁面の数々の彫刻、柱なども同時に彫り出していくわけで、誰が、どんな設計図で、何人の手で進めたのだろうか。
大雑把に掘り下げるだけの部分は誰にでも可能かもしれないが、彫刻類は熟練職人でなければ難しいだろう。カイラーサ寺院だけで、150年かけて5000人が作業したといわれるそうだ。

神々の物語が刻まれた本堂
本堂に上がった。拝殿とナンディ堂に分かれていて渡り廊下のようなものでつながっている。まず拝殿に入った。

柱や壁面には彫刻が施されており、シヴァ神とヴィシェヌ神が主だといい「神たちの物語が描いてあります」とガイド。かなり暗いのではっきりとは見えないのが少し残念。
字を分からない人たちに向けたものだというが、どうやってみたのだろうか。拝殿の奥にはリンガも置かれている。

ナンディ堂には、象の彫刻が1頭、置いてある。ナンディとはシヴァ神の乗り物の象で、みんなが撫でていくのか、背中や頭がすべすべして、黒光りしている。ご利益があるというので、撫でてみた。
本堂を降り、寺院の周りをもう1周してからカイラーサ寺院を出た。ここだけで1時間以上かかった。
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