日光の社寺・上(日本) 東照宮

最後に奥宮。入口の手前の廻廊の潜(くぐり)門の梁の上に国宝「眠り猫」の彫刻が乗っている。左甚五郎作と伝えられ、牡丹の花に囲まれて日光を浴び、うたたねをしている姿が愛されている。猫が寝ているので、その裏には遊んでいる雀の彫刻があるそうで、「猫が眠るほど平和」という意味らしい。戦国時代を終わらせた徳川家康を祭神とする東照宮は、平和への願いが随所に表現されている。

願いをかなえる杉の傍らに静かな墓所

最後は奥宮(奥社)へ。意外と長い上り坂が続き、200段以上の階段を上る。奥宮拝殿があり、その裏に奥宮唐門(鋳抜門)。唐門の向こうが宝塔、家康の墓所になる。祀られてから1度も開かれていないそうだ。

奥宮唐門

奥宮宝塔

墓所の横に「叶杉」が立っている。樹齢600年らしいので、東照宮ができるぐらいから立っていた。大きな洞が開いており、小さな鳥居があって、お祈りすると願いをかなえてくれるらしい。木の上部がなくなっていた。ここまで来たのは約50年ぶりで、その時は杉の上部があったかどうか覚えていないが、半世紀ぶりに拝んできた。

下山して、再度陽明門でしばし足を止めた。そういえば、よく見ていなかったが、陽明門裏には金ぴかの「狛犬(唐獅子かもしれない)」や守護神の「随身(神)像」も置かれている。随身像の装束のすね、ふくらはぎあたりにあるのは「織田木瓜紋」と思われる。織田信長の紋を入れた守護神像だとすれば、どんな意味を込めたのだろうか。

門をくぐり、階段を下りた。右に「鳴き龍」の看板が出ていた。薬師堂(本地堂)の天井にある鳴き龍を公開している。あまり並んでいないので、入ってみた。

中には人がけっこういて、天井に描かれた鳴き龍の下に円くなって集まっている。人数が集まったからだろうか、参拝客の円の真ん中にお坊さんが入り、龍の真下から少しずれたところでまず拍子木をたたく。鳴き声らしい音は聞こえない。龍の真下でもう1回たたく。今度は「リン、リン、リン、リン…」という長い余韻の共鳴音が耳に残る。これが龍の鳴き声なのだろうか。

1999年登録

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