北海道・北東北の縄文遺跡群(日本) 御所野遺跡・伊勢堂岱遺跡・大湯環状列石(秋田・岩手県)
盛岡~御所野遺跡、大館~伊勢堂岱遺跡~大湯環状列石
2021年に日本の25番目の世界遺産、文化遺産としては20番目に登録された縄文遺跡群。北東北の3県のうち、秋田県と岩手県では3カ所が登録された。3カ所とも、文化審議会が世界遺産登録の推薦を5回見送っていた時期に、仕事などで近くに行った際に見てきた。
岩手県にある御所野遺跡には2016年、行ってみた。盛岡からレンタカーで国道4号線を北上し、東北自動車道一戸ICの手前に標識があった。「御所野縄文公園」として、来るべき世界遺産登録のために、遺跡が整備されていた。
復原家屋で縄文体験ができる
駐車場から「きききのつり橋」を通って博物館へ。入館料300円で入った。円形の展示室では、プロジェクションマッピングで縄文時代の人々の暮らしを再現する映像を見られた。そのほか、円筒形の土器や「鼻曲がり土面」という奇妙な表情の土製仮面など、御所野遺跡や周辺の縄文遺跡の出土品などが展示され、下調べになる。40分ほど見てから外に出て、遺跡に入る。
緩やかな傾斜のある広い斜面の大きな広場に、当時の竪穴式住居や掘立柱建物などが復原されている。博物館側から広場の奥に向かって「東むら」「中央むら」「西むら」の集落が並んでいる。
御所野遺跡は、縄文時代中期後半(約4000~4500年前)の大規模集落の跡。中央むらにはストーンサークルより小型の「配石遺構」があり、遺跡全体に約800棟の竪穴式住居が見つかっているというから、人口もかなり多かったようだ。
竪穴式住居の復原方法が説明してあった。実際に使用されていたと思われるクリの木を伐り出し、地面を掘り、柱や壁を立て、樹皮で屋根をつくり、小枝で固定し、その上に土を厚さ10センチ程度のせている。地面と一体になった感じの家になっている。
復原された住居の中にも入れる。入口からしか明かりが入らないので暗い。中央に石で囲われたかまどと思われるものもある。
そのほか、川から水を引き込む「水場遺構」や、大量の土器や石器とともに火を燃やした炉の跡がある「盛り土遺構」など、むらとしての機能が見られる遺構も残っているという。
博物館や体験施設では、土器や石器づくり、火起こし体験、縄文食の調理、組みひもやアクセサリー作りなどで縄文の生活を体感できるプログラムもあるそうだ。
雪と熊に行く手を阻まれたストーンサークル
秋田にある2つの登録遺産には2017年、行ってみた。伊勢堂岱遺跡は北秋田市にある。行ったのは4月上旬。市街地には雪がほとんど残っていなかったので、大館で仕事をした後、迷いなく行くことにした。
ところが…。
伊勢堂岱遺跡は、縄文時代後期前半(約4000年前)の遺跡。台地の上に4つのストーンサークル(環状列石)が見つかっている。ストーンサークルの周囲に、掘立柱建物の跡や墓などが発掘されているが、遺跡の主役といえる。
遺跡のある丘の下に真新しい「伊勢堂岱縄文館」が建てられていた。その入口に張り紙。正確な文言は覚えていないが「残雪があって危険なため、遺跡には入れません」と書いてあった。しかたなく、縄文館に入った。入館料は200円だった。
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